※1957年に劉貴珍氏が当該書籍で
初めて気功という言葉を使用し、
かつての吐納、導引、定功、静功、内功、調息、静坐など
伝統療法を現代科学と結びつけ、保健療法として体系化した。
1. 神経系に対する作用
入静(最適な気功状態)における
客観的生理的効果の基礎は何であろうか?
実験条件に限っても、いまだなおその本質のすべては
示されていないが、脳波測定、中枢神経における
化学的伝達物質の成分分析などから、
入静とは大脳皮質が
特殊な能動的内的抑制過程にあることが示されている。
2. 呼吸器系に対する作用
熟練した練功者(気功鍛練した者)は、
呼吸の方法、一分間の通気量、呼吸回数などに明らかな
変化が認められ、呼吸の気流速度は著しく減少する。
また、X線の観察では、調息に熟練しているものでは、
横隔膜の上下運動幅が普通の状態に比べ
二~四倍に増大していることが確かめられており、
このことは吸気時の胸膜腔の陰圧を強めることとなるので、
心肺の循環機能の改善となる。
3.消化器系に対する作用
気功は胃腸の蠕動運動を調整し、
また消化腺の分泌機能にも影響を与える。
気功特有の呼吸は、直接に横隔膜の運動幅を増大させるが、
こののことは横隔膜による胃腸マッサージ作用を
増大させる意味を持っているので、用いる呼吸法と
その程度が適当であれば、この作用によって
胃腸の蠕動運動と腺体の分泌機能を調整することができる。
4.循環器系に対する作用
心拍・心臓の分時拍出量、肺動脈圧、血圧等の実験観察によると、
気功の心臓・血管に対する影響も顕著で幅広いものがある。
練功における入静の後、心拍数は明らかに減少を示し緩慢となるし、
熟練者では人為的に心拍をコントロールして速くしたり、
遅くしたりもできる。
なかには心房粗動を誘発させることのできる者もいるが、
逆に心房粗動、房性あるいは室性の期外収縮等心臓リズムの
失調を矯正する作用も気功にはある。
5.内分泌系に対する作用
気功の神経系に及ぼす作用は非常に広範なものがあり、
しかも安定したものであることが実験・観察によって
確かめられているが、内分泌系が直接・間接的に神経系の
調節を受けて、その生理的活動をおこなうことを考えれば、
気功が必然的に内分泌系に影響するものであることがわかる。
実際、このことは臨床上でも実証されている。